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【経営者必見】ホテルにおけるBCP(事業継続計画)策定を解説!

「災害発生の影響を受けにくい安定したホテル経営をおこないたい」
「緊急事態発生時に地域貢献できるホテルになるためにはどうすればよいか」

このような疑問を持っている経営者は多いと思います。
そこで、今記事ではホテルのBCP策定および具体策について解説している記事です。

ぜひ参考にしてみてください。

緊急時におけるホテルの役割

ホテル
BCPの策定をおこなう際、始めに考えることに「緊急時におけるホテルの役割」があります。

一般的な工場・会社と違いホテルは民間に広く知られた施設であり、緊急時は避難先として近隣住民が集まることが想定されます。
そのため、BCP策定時にはホテルの役割を意識した事業継続計画を策定する必要があり、緊急事態に備えるとともに一時避難所として開放することを意識した内容で策定します。

役割対応のために速やかな事業再開が必須

役割に対応するためには事業再開が速やかにおこなわれる必要があり、ホテルにおけるBCPの策定には目標復旧時間の設定が重要です。

目標復旧時間とは、災害やテロのような緊急事態の発生時に事業を復旧する目安の時間をあらかじめ設定し、その時間内での復旧に必要なプロセスを計画することを言います。

ホテルの場合、緊急事態の発生直後から一時避難所としての役割が存在し、その後も中長期にわたって対応し続ける施設です。

以上のことから目標復旧時間は数分から数十分という短い時間となり、現場でのチェック体制含めた諸計画をあらかじめ設定しておきましょう。

ホテルにおけるBCP策定の3つのポイント

ポイント

ホテルにおけるBCPの策定には大きくわけて3つのポイントが存在します。

その理由としてホテルには一時避難所や医療拠点といった、他施設には見られない特有の役割があることが挙げられ、BCP策定にも特有の役割に応じた制約があり、地域に応じて重要視する部分も変化します。

そこで、主要となる「事業の復旧・インフラの確保・物資の確保」の3つについて、BCPの必要項目を解説します。

事業の復旧

事業の復旧に関連するBCPは3つの項目から構成されます。

• 本社機能の移管
• 耐震性の確保
• 目標復旧時間の設定

本社機能の移管は緊急時に速やかな指示系統を構築するために必要であり、平時からあらかじめ本社機能の一部を現場に移管することがポイントです。
例えば緊急時には支配人が直接取引先に連絡をすることや、地域行政の要請に対応できる権限を与えるといったことが重要となります。

次に、耐震性の確保は大地震といった災害の発生時に建物が倒壊・破損しないため、あらかじめ耐震補強工事をおこなうことがポイントです。耐震補強工事の一部には補助金や保険が適用されることもあるため、事前に検討をおこなうことが重要となります。

目標復旧時間の設定は一時避難所としてホテルを開放するため、緊急事態の発生から事業復旧までの時間をシミュレートすることがポイントです。
平時から点検項目をリストアップし、支配人を中心とした組織で訓練をおこなうことが重要となります。

事業の復旧はホテルのBCP策定においてもっとも重要であり、ホテルに求められる役割を遂行するために不可欠なものとなります。
BCP策定段階で吟味し、事前に訓練をおこなうことを心がけましょう。

インフラの確保

インフラの確保に関連するBCPは3つの項目から構成されます。

• 上下水道の復旧
• 電気設備の復旧
• ガス関連設備の復旧

上下水道の復旧は公共衛生を維持するために必要であり、被災地の疫病を防ぐことや怪我の治療といった医療関連に大きな影響を与えます。
上下水道はインフラの中でも中期に復旧がおこなわれることが多く、被災直後には復旧が期待できないため個別で対策をおこなうことが重要です。

電気設備の復旧は情報収集や情報伝達といった意思疎通に必要であり、円滑な事業継続に大きな影響を与えます。
電気設備はインフラの中でも初期に復旧がおこなわれることが多く、事前の対策で復旧まで持たせることが可能なため、積極的に取り入れたいものとなります。

ガス関連設備は食料の調理や入浴といった生活の糧に必要であり、避難生活が長期にわたると復興に影響を与えます。
ガス関連設備はインフラの中でも後期に復旧がおこなわれることが多く、最長半年程度の時間を有するケースも存在し、そのため調理設備を併設するホテルの場合は自前で対策を講じることが重要です。

以上のようにインフラは復旧までに時間がかかるものが多く、事業を継続するためにはインフラの再開を待つ必要があります。

大規模な対策は講じにくいケースも多いため、代替案をあらかじめ用意するといった対策が重要です。

物資の確保

物資の確保に関連するBCPは2つの項目で構成されます。

• 取引先との連絡体制
• 物資の備蓄

取引先との連絡体制は平時から確立する必要があり、緊急時には連絡が付かない前提で対策を決めておくことがポイントになります。

ホテルはタオルやアメニティ、シーツといった多くの備品を外注業者に依頼しています。
緊急時には物流の混乱も予想されるため、いつ納品されるかを管理できる体制を確立することが重要です。

物資の備蓄は事業継続に必要な物資を管理し、在庫として圧迫しない程度にホテル側で備蓄をおこなうことがポイントとなります。

保管するスペースの問題や費用の問題もあり、事前にどれだけ備蓄を確保するかを決定することが重要です。

物資の確保は事前に備蓄をおこなうことで初期対応が可能であり、長期的には連絡体制を確立することが安定供給に繋がります。

人材含めて事前の対策が活かされる項目のため、意識してBCPに盛り込むことを心がけましょう。

具体的なBCPの内容とその費用について

コスト
ホテルにおけるBCP策定は施策に費用の掛かるものと、施策に費用が掛からないものが存在します。
予算の問題もありBCPの策定に踏み切れない経営者も多く、目安となる費用について情報が欲しいというケースも多いです。

そこで、ホテルにおけるBCP策定において具体的な施策と費用について解説します。

今回はBCP策定のポイントで紹介した全項目について具体的な施策を紹介し、費用が発生するものについては費用情報を併記します。

すべてをいきなり導入するのではなく、段階的に導入することも視野に検討してみてください。

本社機能の移設

本社機能の移管は複数ホテルを経営している、またはホテルとは別の場所に本社を設けている際に対策したい項目です。

具体的な施策としては顧客情報や取引先情報、決済のクラウド化が挙げられます。
本社が災害によって立ち入り禁止となるケースも多く、緊急事態に備えてあらかじめホテル側で事業継続可能なシステムを構築することが重要です。

費用は規模により変動しますが無料でおこなうことも可能であり、セキュリティ重視やメンテナンス不要といったオプションを付けることもできます。
あわせて緊急事態の発生時に、現場支配人が行政の要請や取引先との決済を決定する権限を持てる体制を確立すると効果的です。

普段から情報をクラウドで共有することでシステムに慣れるメリットもあり、積極的な導入をおすすめします。

建物の耐震補強

建物の耐震補強は大地震のような大規模発生時に、ホテルが倒壊・破損して事業継続が困難にならないために必要な項目です。

直近で建てられたホテルの場合は特に不要ですが、昭和56年(1981年)以前に建てられた場合は耐震基準を満たしていない可能性があります。

現在では耐震基準を満たしていないホテルは検査結果が公表されているため、減少傾向にあります。
しかし、耐震補強工事は努力目標であるため手をつけていない経営者も存在しており、大地震発生時のリスクは高いです。

現在では国による補助金を始め、地方自治体の補助金や火災保険を始めとした住宅保険による補修とあわせて施工することで、費用を抑えることが可能です。
特に風害の被害で破損した部分については火災保険が適用され、工事費用の一部または全額負担されるケースもあります。

各自治体や保険の契約内容を確認して、耐震補強工事をおこなうことをおすすめします。

目標復旧時間の設定

目標復旧時間の設定は災害の規模によって異なるため、複数ケースを想定した施策を作る必要があります。

具体的には事業再開に必要なチェック項目を決定し、確認に掛かる時間を想定することが重要です。

大地震発生のケースでは下記の項目のチェックが必要と言われています。

• 建物の倒壊危険性の有無
• 電気設備の状況把握
• ガス設備の状況把握
• 断水の有無
• ホテル設備の破損や危険個所の把握
• ホテル周辺の環境の把握(周囲での火災等ホテルに影響があるもの)

上記の項目を確認して事業再開までに必要な時間をあらかじめ設定することが、大地震における目標復旧時間の設定となります。

必ず現場の意見を取り入れ、現場にてシミュレーションをおこなうことを心がけましょう。

インフラの確保

インフラの確保は電気設備・上下水道・ガス設備の順に優先されます。

電気設備はホテル設備の根幹であり、近年の上下水道はポンプで水をくみ上げる仕様も多いため、必ず対策をおこないたいです。具体的には発電機の導入や一時的に電力を貯める設備の導入が挙げられます。

施工費用としては約300万円~と、多少値段が掛かりますが、事業継続に必須なものであるため導入をおすすめします。

上下水道についてはホテル個別で水道を引くこともできないため、あらかじめ貯水タンクを設けることが対策です。
しかし、貯水タンクの設置できる数にも限りがあるため抜本的な解決とはならず、費用対効果に疑問が残ります。

そこで、簡易トイレキットや飲料水を備蓄することで、断水したときでも影響を受けにくい状況を作ることがおすすめです。100人で1週間の生活を想定しても30万以下で用意が可能であり、貯水タンクを設置するより安上がりとなります。

ガス設備については緊急時の必要性はあまり高くなく、二次災害の発生が予想されるため必須ではありません。
もしホテルに調理設備があり、プロパンガスを常備している場合は予備を持つことで対策が可能です。

物資の確保

物資の確保は長期的な事業継続を意識した際、また初期対応をおこなうときに重要となる項目です。

長期的な事業継続を想定した際は取引先との連絡が重要であり、物資の納品が不可能となった場合に代替が可能かどうかの判断を事前にしておく必要があります。

平時から納品先を分散することで被災による共倒れを防ぐ効果もあり、取引先を拡大することで緊急時の対応先を増加させることも期待できます。あわせて連絡体制を確立し、取引先間でもネットワークを形成することが効果的です。

また緊急事態の発生初期は道路事情も分からず、物流が混乱することが予想されます。
そのため、平時から物資を備蓄することで初期対応が可能です。

例として初期に需要が集中するタオルや石鹸といったアメニティは、使用期限等もなく長期備蓄が可能な備品です。
単価も低いためBCP策定を検討するときに、容易におこなえる項目となります。

備蓄にはスペースが必要となるため条件は異なりますが、避難生活初期に需要の高いタオルといった備品は多めに備蓄することが効果的です。

ホテルにおけるBCP策定は「初期対応・拠点機能・長期性」を意識する

ホテルにおけるBCPの策定はホテル特有の役割があるため、目標復旧時間が極端に短いという特徴を意識する必要があります。

初期対応として一時避難先の提供、避難先としての安全確保が重要なポイントです。
安全性を確保した後は拠点としての役割に移行し、医療関係者や軽症患者の受け入れ先となる拠点機能を有します。

衛生面の確保としてインフラの維持、物資の確保をおこなうことで地域を支える役割を果たします。
復興に向けて工事がおこなわれる際は拠点としても活用され、長期にわたって拠点機能を保持し続けることも重要です。

以上を意識したBCP策定をおこない、長期にわたって事業継続することで大きな利益を生み出します。
BCP策定を検討している経営者はぜひ参考にしてみてください。

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