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旅館やホテルで重要な配管工事と種類別の特徴

水道や排水などの配管は、生活に欠かせないものです。
経年劣化によりダメージが発生しやすく、古いままでは快適な使い勝手にはなりません。

配管は、なかなか目に付きにくい部分です。
しかし、事前にポイントを把握しておくことで、快適な配管と使い続けることができます。

この記事では配管のメンテナンスにかかわる、以下の内容を解説します。

 なぜ配管の修繕工事は必要なのか
 配管の種類とそれぞれの寿命
 各配管の修繕工事の目安である「不具合」の確認方法
 配管の修繕工事をおこなうことで得られるメリット
 配管の修繕工事をおこなうデメリット
 配管修繕工事を依頼する業者選びのポイント
 配管の修繕工事で火災保険が適用できるケース

上記を知っておけば配管が故障した場合や定期メンテナンスで悩むことが少なくなるでしょう。

なぜ配管の修繕工事は必要なのか


配管は、建物と同様にメンテナンスが必要です。
そのため、定期的に必要な修繕をおこなわないといけません。

配管の修繕が必要と聞いても、具体的な必要性はわからない方もいると思います。

配管を修繕する必要性には、以下の2つがあります。

各配管の性能の維持や回復


配管は、新築時の配管状態の性能維持や回復により、スムーズに使い続けることができます。

配管は経年により徐々に劣化し、放置しておくとさまざまな不具合が発生します。
修繕せずに放置すると、赤水や青水などの水質変化や、ガス漏れといった不具合が生じます。

また、配管は時代の流れにより材質や性能が変わっていきます。
より良い配管を使って快適に使い続けるようにすることが、理想となるでしょう。

従来の配管を使い続けるのではなく、改良を加えることで快適な環境を保つことができます。

安全の確保


各種配管は、日常生活を送るうえでとても大事なインフラです。
使う頻度が多いものですので、劣化が激しく衰えやすいです。

目には見えにくい被害が徐々に発生し、漏水やガス漏れなどの被害が発生してしまいます。

ガスの場合、火災に繋がってしまった恐ろしいケースもあります。
メンテナンスを定期的におこなって改善していくことで、ガス爆発といった事故を防止できるでしょう。

配管の種類とそれぞれの寿命


配管の修繕が必要な理由は、寿命があるからです。
そのため、各配管の性能や特性を把握して、環境に適した修繕をおこないましょう。

特に、現在使用している上水道では、以前使用していた配管とは素材も特徴もまったく違います。

特徴や材質が変化した理由は、時代に適した素材の採用と、以前の配管では安全性に問題があることが理由です。

建物に使われている配管は、大きく分けて3つの種類があります。
各配管の種類や性能を以下では紹介します。

上水道配管の種類と寿命

上水道配管とは、給水管や給湯管のことをいいます。
蛇口から水が出るのが上水道で、蛇口に繋がっている配管はすべて上水道配管です。
キッチンや洗面台、洗濯給水、お風呂、トイレ、外部の散水栓などに使います。

1997年を目途に、給水管は大きく材質が変わりました。
以前は鋼管を使っていましたが錆が発生しやすいデメリットがあったため、素材が銅に変わりました。
近年は、塩ビ管も採用されるようになりました。

上水道配管の種類や寿命などの特徴は、以下のとおりです。

給水管の種類 素材 特徴 寿命
水道用亜鉛めっき鋼管
(1997年以前まで使われていた水道管)
金属管 錆びやすい 15~20年
ステンレス鋼管 金属 錆びにくい 半永久的
水道用硬質塩化ビニル管 非金属
(ビニル系)
錆びない 15~30年
水道用架橋ポリエチレン管 非金属 錆びない
(ポリエチレン系)
15~30年
水道用ポリブテン管 非金属 錆びない
(ポリエチレン系)
15~30年

排水管の種類と寿命

排水管とは、水を流すために使う通路です。
流し台や洗面台、洗濯機の排水、給湯器、お風呂、トイレなどで流す際に使います。
古い物件では鋼管が使われていますが、近年では塩ビ管が主流です。

排水配管の種類や寿命などの特徴は、以下のとおりです。

給水管の種類 素材 特徴 寿命
鋼管 金属 錆びやすい 25年ほど
塩化ビニル管 非金属
(ポリエチレン系)
錆びにくい 50年ほど

ガス管の種類と寿命
ガス管とは、ガスが通る通路であり、ガス台や給湯器、湯沸かし器、床暖房などに利用します。
素材は現代ではポリエチレン管や被覆鋼管を使っています。

ガス管で注意したいポイントは、古い建物に使われている白ガス管です。
白ガス管は現在使用禁止となっている、要注意のガス配管です。

土中に埋設すると亜鉛メッキが徐々に溶け出す恐ろしい性質があります。
腐食が進むとガス漏れを起こすため、大変危険です。

1994年に、白ガス管のガス漏れによる爆発や死傷事故が多数発生しました。
そのため、埋設部分に関しては白ガス管の新規利用を1996年から禁止しています。

白ガス管は20年で取り換え工事をするよう推奨されています。
該当するガス管を利用している場合は、注意が必要です。

ガス配管の種類や寿命などの特徴は、以下のとおりです。

給水管の種類 素材 特徴 寿命
白ガス管 金属 錆びやすい 20~30年
被覆鋼管 金属 錆びにくい 20~30年
ポリエチレン管 非金属
(ポリエチレン系)
錆びない 20年ほど

各配管の修繕工事の目安である「不具合」の確認方法


各配管の不具合には、必ず異常を示すサインがあります。
異常が発生している目安を把握し、症状が出たらすぐに対応しましょう。

上水道と排水管の修繕目安

給排水管の不具合の発生は、比較的わかりやすいサインがあります。

給水管の場合、赤水や青水が出たら配管のなかに異常が発生しています。
配管内部が腐食している可能性が高く、放置すると悪化する一方でしょう。

また、水道の出が悪い場合は、配管のなかで劣化がはじまっているサインです。
よくあるパターンは、蛇口をひねっても以前の水圧とならないことです。

この場合、配管のなかの劣化や接続部分の破損、パッキンの劣化などが考えられます。

排水の場合、水を流した際にゴボゴボと今までにない音が鳴ることがあります。
これは排水管のなかに損傷が発生しているサインとなります。
排水管のなかが劣化し、平らな状態ではないおそれがあるでしょう。

また、排水管の曲がり部分も、劣化が発生しやすいです。
接続部分にはさまざまな部品が取り付けられているため、劣化により不具合が発生します。

ガス管の配管修繕の目安

ガス管の場合、1番わかりやすいのはガスの臭いがすることです。
ガス管は密閉されていますので、本来ならガス臭はほとんど発生しません。

今までにないほどガス臭を感じる場合は、ガス管のどこかが破損しているサインです。

また、ガス機器を新しく取り替えた際に調子が良くない場合も、要注意です。
ガス管のどこかに異常が発生しているために不具合が起こっているおそれがあります。

配管の修繕工事をおこなうことで得られるメリット


配管の修繕には、費用がかかります。
費用をかけてまで定期的に修繕工事が必要なのかと疑問に思う人もいるかもしれません。

定期的に配管の修繕をおこなうメリットは、以下の2つが挙げられます。

修繕費用の削減

配管の修繕の逃すことで、修繕費用がどんどん増えてしまいます。
なぜなら、修繕が必要な部位は年月が経過するほど増えていくからです。

必要なタイミングに適切な配管修繕をおこなえば、小規模な工事ですみます。
タイミングを逃して放置した後に修繕をおこなうと、工事範囲が膨大となってしまい無駄な費用がかかるでしょう。

本来な軽微な補修ですむのに、放置したことで配管の全面交換が必要となって高額な費用が発生する場合もあります。

二次被害防止へとみちびく

定期的な修繕をおこなわないと、頻繁に二次災害が発生します。

よくあるパターンといえば、給水管や排水管の漏水があります。
気がついたら水たまりがあり、使うたびに漏水が止まらないケースは少なくありません。

ガス漏れの場合は、健康被害へと発展してしまいます。
少しくらいなら問題ないと思うかもしれませんが、ガスは猛毒です。
また、その空間で喫煙することで爆発事故にも繋がります。

配管の修繕工事をおこなうデメリット

配管工事をおこなうことには、デメリットもあります。
修繕を考える前に、デメリットも把握しておきましょう。

費用がかかる

工事をおこなうので、費用がかかってしまいます。
配管の修繕工事は安い費用ではないため気軽にできることではありません。

しかし、必要なタイミングで修繕工事をおこなうことで修繕範囲を最小限にできます。

少ない範囲での修繕により、安い費用で修繕工事が可能です。

騒音が発生する

配管工事ですので、ある程度の騒音は発生します。
しかし、短時間で終わるため、外出しておくという手もあるでしょう。
もちろん、住みながら修繕工事を進められます。

配管修繕工事を依頼する業者を選ぶポイント


配管修繕工事を依頼する業者は、慎重に選びましょう。
大事なのは、自分の依頼に適した業者であることです。

以下の4つのポイントにあてはまる業者を選ぶとよいでしょう。

1. 地元の業者を選ぶ
2. 配管修繕工事は指定業者に依頼する
3. アフターフォローがしっかりしている業者に依頼する
4. 訪問業者には絶対に依頼しないようにする

詳しくチェックしていきましょう。

地元の業者を選ぶ

配管工事は、緊急性が高い工事です。
そのため、近くの地元の業者に依頼することが重要となります。
理由は、緊急時に素早い対応をしてもらえるからです。

地元の業者であれば確実な仕事をしてくれる可能性があります。
地元の業者なので、地域での評判を落とさないよう精度の高い工事をしてくれるでしょう。

配管修繕工事は指定業者に依頼する

配管工事には、指定業者があります。
指定業者とは、指定給排水装置工事事業者のことをいいます。

指定業者に施工してもらうことで、専門的な部分に目が届いた万全な修繕工事となります。
また、配管工事に必要な資格を持っている職員が対応してくれます。

アフターフォローがしっかりしている業者に依頼する

配管の修繕工事は、完璧に施工をおこなっても後にトラブルが発生することがあります。

修繕工事とは、古い建物のなかの工事です。
新築工事のようにまったくトラブルが発生しない配管にすることは、難しい場合があります。

そのため、アフターフォローがしっかりしている業者を選ぶことが非常に重要です。
アフターフォローがしっかりしている業者は、緊急時にすぐに駆けつけてくれます。

日中だけではなく深夜や早朝などいつでも駆けつけてくれるので、非常に頼りになります。

訪問業者には絶対に依頼しないようにする

配管の修繕工事は、訪問業者も受注を狙っています。
しかし、訪問業者に配管修繕工事を依頼してはいけません。

理由は、訪問業者は配管工事に詳しくない場合がほとんどだからです。
依頼すると、その場しのぎの修繕工事をされる事例が多いでしょう。

配管は、お客様の目に付きにくい部分です。
見えないことを逆手にとり、適当に修繕をして多くの費用を請求されてしまうでしょう。

配管は大事なインフラですので、信用できない業者に依頼はしないようにしてください。

配管にかかわる修繕工事で火災保険が適用できるケース


建物の破損に対応する際、目を向けてほしいのが火災保険です。
配管の修繕と火災保険の適用はどのような関係があるのか、詳しく解説していきます。

火災保険と漏水の適用の関係

火災保険は文字どおり、火災が発生した際に使える保険です。
しかし、外壁や屋根など住宅の破損に対して火災保険が適用することも可能です。
火災保険を適用することで、配管にかかわる修繕費用を安くできるケースもあります。

火災保険には、水に対する損害に対して補償する項目があります。
「水ぬれ」と呼ばれる補償内容です。

ただし、火災保険の契約の際に「水ぬれ」の補償範囲を選択している場合に限ります。

「水ぬれ」の補償は、水道管からの漏水といった建物の内部で発生した事故に対する損害補償です。

自宅の水道が破損して水が漏れてしまい、床や内壁などが破損してしまう場合があります。

この場合、火災保険の「水ぬれ」の補償を受けて費用を安くできる場合があるでしょう。

集合住宅で上階から水漏れが発生して損害を受けた場合

集合住宅の上階の住人の給排水管より水浸しになり、下階に影響が出る場合があります。

その水漏れが原因で家財が傷んだ、もしくは機械が故障した場合は、上階の住人に賠償請求ができます。

しかし、上階の相手に支払い能力がない、あるいは支払いを拒否した場合は困ってしまうでしょう。

その場合、火災保険の「水ぬれ」の補償範囲により損害分の補償を受けることが可能です。

集合住宅で自宅からの水漏れにより階下に損害を与えた場合

集合住宅で自分の部屋の水漏れが原因で、階下に損害を与えてしまったケースでも火災保険の対象となる場合があります。

この場合、原則として階下の住人に対して損害賠償をおこなわなければいけません。
たあし、火災保険の契約のなかに「個人賠償責任保険」が含まれている場合、補償が受けられます。

集合住宅で共有部分の給排水管の故障により自宅に水漏れが発生した場合

マンションやアパートなどの集合住宅では、共有している部分の給排水管があります。

共有している給排水管の破損により、自室の家財が水漏れする場合もあるでしょう。
この場合、一般的にはマンション組合で契約している損害賠償保険での補償となります。

ただし、家財の時価に対する補償です。
そのため、新しく家財を買い替える場合の資金には足りないおそれがあります。

一方で、発生した差額は自宅の火災保険の「水ぬれ」の補償で対応できる可能性があります。

「水漏れ」に該当しない修繕内容は対象外

「水漏れ」補償に該当しないのは、給排水管の修理費用です。

火災保険の「水漏れ」補償は、水漏れの際に発生した内装や家具、家電製品への補償です。
原因である給排水管の修理費用には利用できません。

例えば、自室内の給排水管が破損して水漏れが発生し、床が水浸しになったとします。

また、故意や重大な過失により発生した水漏れの場合も、該当しません。

火災保険の契約内容により該当するのかどうかを判断

火災保険に加入していれば、「水漏れ」補償に該当するわけではありません。
火災保険のなかの「水漏れ保障特約」を契約している場合のみ該当します。

お使いの火災保険の契約内容のなかに「水漏れ保障特約」が含まれているのかを確認しましょう。

保険証書に記載がありますので、確認してみると良いでしょう。
わからない場合は、保険会社に問い合わせをすると調べてもらえます。

配管の修繕工事は寿命を超えることなくおこなうことが重要!

配管は意外と寿命が短いです。
適したタイミングで配管の修繕工事をおこない、快適に使い続けられる住まいとしましょう。

ただし、修繕工事には費用はかかります。
修繕のタイミングを間違えないことにより少ない費用でおこなうことができます。

また、給排水管が水漏れした場合は、火災保険の適用も考慮しましょう。
火災保険を有効的に利用して、少ない修繕費用で工事をしていくことをおすすめします。

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