鉄工業向きの火災保険とBCP計画についてお伝えします! 給排水設備の事故等による水漏れがあった場合についても解説

鉄工業に従事されている方、とりわけ経営をおこなっていらっしゃるみなさんは、現在の事業を継続していくために、さまざまな対策をしておく必要があると思います。
実は、火災保険に加入しておくことも、事業継続のために備えておく要素の1つになるのです。
本記事では、鉄工業に適した保険の種類や補償内容とは何なのか、またBCP計画(事業継続計画)や、給排水設備の事故等による水漏れがあった場合についても解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

「製鉄業」「鉄鋼業」「鉄工業」の違いをおさらい

この分野に従事されている方には簡単かと思いますが、本題に入る前に「製鉄業」「鉄鋼業」「鉄工業」の違いをおさらいしておきましょう。

「製鉄業」とは

鉄鉱石などから、銑鉄や鉄の原料である“還元鉄”を生産する工業のことを指します。
それ以外にも、鉄くずなど回収した後に、鉄とその他のものに分ける過程も含まれます。
製鉄所には、溶鉱炉が必ずあることが特徴です。

「鉄鋼業」とは

製鉄された還元鉄から、“鋼材”を作る工業を指します。この鋼材は、ロール状の鋼板やH型の鋼材となります。ステンレスなどの鉄が主成分となる合金も、鉄鋼所で生成されます。

「鉄工業」とは

鉄工所で生成された鋼材を、鉄加工品を製造する工業を指します。板材や棒材や形鋼などの金属材を、色々な機械を使って、「切断・研磨・溶接・プレス・鍛造」などで加工し、部品などへ製品化しています。

「BCP(事業継続計画)」とは何だろう


みなさんは「BCP(事業継続計画)」というワードを耳にしたことはありますでしょうか。近年の大型の自然災害や新型コロナウイルス感染症の影響で、ニュースや記事などで取り上げられているのを聞いたことや見たことがあるという方もいらっしゃることと思います。
BCP(事業継続計画)とは、自然災害や事故などが発生し、事業を継続するために業務への影響を最小限に抑え、業務を中断せざる負えなくなったとしても、できる限り迅速に業務を再開できるように、復旧対策を事前に計画しておくことを指します。

保険に加入することはBCP(事業継続計画)の一環です

世の中には、「生命保険」「個人年金保険」「自動車保険」などの多くの保険が存在しており、ご自身でもいくつか加入しているケースも多いでしょう。そして、保険に加入する方の多くの理由は“万が一の場合に備えるため”ではないかと思います。
BCP(事業継続計画)も、自然災害や事故などで事業継続できないという、“万が一の場合に備え、復旧対策を事前に計画しておくこと”ですので、保険に加入しておくことは、必然的にBCP(事業継続計画)に繋がっていくのです。

鉄工業従事者の方々は『火災保険』に入っておくべき!

普段の生活の中で馴染みのある保険の中でも、『火災保険』は上位に入ってくることと思いますが、鉄工所も例外なく火災保険への加入は必須と考えていただくと良いと思います。そして火災保険の中でも、鉄工所は『企業総合保険』というものに加入する必要があります。

『企業総合保険』とは

鉄工所は、住宅などの居住目的としてある建物ではないため、法人用の火災保険に加入する必要があります。それが『企業総合保険』と言われるものです。
企業総合保険も、住宅用の火災保険と同様に、「火災、落雷、破裂・爆発風災、雹(ひょう)災、雪災」などによる資産への損害に対して補償をしてもらえます。住宅用と異なる点は、「休業時の補償」や「建物に収容されている什器や設備、商品への補償」が付随しているということでしょうか。

鉄工所は住宅とは異なり、機械を活用したり高熱が発生するものがあったりと、特殊な作業を行うところということもあり、保険料が割高になってしまうケースも多いです。しかし、ここが災害大国日本という点でも、BCP(事業継続計画)の観点でも、鉄工所が火災保険に入っておくことは重要であると言えます。

その他のBCP(事業継続計画)に繋がりそうな保険とは


それでは、鉄工所が事業継続のために入っておくべき保険をご紹介していきたいと思います。

『地震保険』

企業総合保険では、地震による損害は基本的に補償内容に含まれていません。そうであるため、地震の被害に備えるためにも別途で加入しておくことをおすすめします。
ただし、この地震保険は単体で契約することができませんので、企業総合保険と同時に加入しておくとよいでしょう。

『PL保険(生産物賠償責任保険)』

鉄工所では、機械を活用したり高熱が発生する作業があったりするので、起こり得る事故は自然災害などの外的な要因だけではないと思います。
『PL保険(生産物賠償責任保険)』とは、「製造・販売した製品や商品」「仕事の終了後、行った仕事の結果」が原因となった、対人事故や対物事故に関する損害賠償を補償してくれるものです。
鉄工業で言うと、例えば「工場で製造した製品に欠陥があり購入者にケガをさせてしまった」というような場合が想定されます。

『施設賠償責任保険』

施設の管理や従業員の不注意で損害賠償責任を負った場合への保険もあると安心です。それが『施設賠償責任保険』と呼ばれるものです。例えば、「工場のガス爆発により通行人や近隣の建物に損害を与えてしまった」「従業員の不注意により来客にケガをさせてしまった」などが考えられるケースです。

『動産総合保険』

鉄工所内には、溶接やプレスなどの加工をする機械や設備がありますよね。また、椅子や机、パソコンなどの業務上使用するものもあるかと思います。このような工場内の“モノ”に対する専用の保険も存在しており、『動産総合保険』と呼ばれています。

動産総合保険とは、不動産ではなく“動産”を補償の対象としている保険です。動産とは、一般的にはお金以外の「動かすことのできる財産」のことを指しています。加工用の機械や設備は1台で高額なものが多いと思いますし、それが破損してしまうと事業自体が継続できないので、入っておくと安心な保険ではないかと思います。
また『機械保険』という、機械や設備のみに補償がされる保険も存在しますのでチェックしてみてください。

その他、サイバーリスクへの保険や従業員を守るための保険、運送時のリスクから守るための保険など、さまざまな種類の保険が存在しています。鉄工所の規模感や製造物の内容など、各鉄鋼業者によって適切な保険は異なりますので、まずは「保険会社・保険代理店・保険のプロ」などに相談をしてみてもよいかもしれません。

BCP(事業継続計画)は単なる防災・事故対策ではありません


BCP(事業継続計画)は、単なる自然災害や事故による損害を予防するものではなく、損害が発生した後でも事業を継続しつつ、迅速に事業を復旧できるような内容として考えなくてはなりません。そのためにはいくつかの押さえておきたいポイントがあります。

損害が事業継続に及ぼす影響を具体的に想定する

こちらは、どのような対策を経営側として練っておくべきかということにつながるのはもちろん、どのような保険に入っておくべきかを決める際にも重要な視点となってきます。

メインの事業所が損害を受けた際の事業継続を可能にする

事業としてメインの拠点が機能しなくなることは死活問題です。しかし、それに備えて準備をしておくことは可能です。保険で言えば、休業保険や休業補償に加入しておくことはもちろん、最近ではサテライトオフィス等の別拠点を事前に用意しておくなどの対策が考えられます。

事業に関連するものの復旧の優先度が適切に設定する

自然災害や事故にあった際は、その被害が大きければ大きいほど、何から復旧させるべきか、何から復旧させると迅速に事業継続につながるのかを想定しておかなくてはなりません。その優先順位によっても、申請する保険の順番が決まってきます。

従業員の安全確保や補償を万全にする

なんと言っても、事業継続には従業員の協力が必要となってきます。大切な従業員がすぐに動けるように、安全確保や保険などの補償を事前に確認・準備しておくことも重要になります。

給排水設備の事故などによる“水漏れ”があった場合は補償してもらえるの?


鉄工所にとってなくてはならないのは給排水設備です。実は、給排水設備の事故などによる“水漏れ”があった場合は補償してもらえるのか、という疑問をいくつかいただいたことがあります。ここでの水濡れとは「給排水設備に生じた事故や被保険者以外の者が占有する戸室で生じた事故に伴う漏水や、放水などによる水濡れ」などを指しています。
それでは、この場合はどのように補償がされるのでしょうか?

給排水設備とはどんなもの?

まずは、給排水設備について解説していきます。給排水設備とは、「道管・排水管・貯水タンク・給水タンク・トイレの水洗用の設備・雨樋・浄化槽・スプリンクラー設備・スノーダクト」などを指しています。
特に鉄工所では、高熱で鉄を加工したのちに急速に冷却することで成形したり、温度を下げたり、洗浄をしたりと多くの水を活用するために、道管や排水管、タンクなどの故障や破損は事業継続の命取りとなります。

火災保険では給排水設備自体の補償はされないので注意

『企業総合保険』などの火災保険に加入している場合、“給排水設備の損害による二次被害”に対しての補償がされます。例えば、「貯水タンクが破裂して鉄工所内が水浸しになった」「天井裏の給水管からの水漏れで、天井の張替えが必要になった」などが考えられます。ただし、下記の場合は補償されませんので注意が必要です。

「経年劣化」による損害

どの保険会社でも、申請箇所が「経年劣化」による損害だった場合には、保険金の支払いを断られます。経年劣化とは、住宅や建物が長年修理や検査を受けておらず、建物自体が劣化している状態のことを指します。

損害を受けてから3年以上経過している場合

こちらについても、どの保険会社でも同様に断られるケースがほとんどです。これは保険法でも定められているため、中々覆すことは難しいのですが、3年経過したからといって保険金を受け取る権利が消滅するわけではありません。このような場合は保険会社や保険のプロに諦めず相談してみてください。

そもそも“水漏れ”を補償内容に加えていない

火災保険は、自分自身でカスタマイズをして契約ができる保険です。もちろん補償内容を少なくすればするほど保険料は安くなっていきます。
各保険会社が提供しているもので内容は異なってきますが、「水災・水漏れ」のような補償内容は、オプション契約として用意されていることも多いので、ご自身で確認をしないまま加入されている場合は、一度確認してみてください。

以上のようなケースに適応していなければ、給排水設備の事故などによる水漏れが原因の損害は基本的に補償を受けることが可能です。ただし、「給排水設備自体の損害の補償は、火災保険では保証されない」ということは覚えておいていただければと思います。

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うまく活用すれば強い味方となってくれる火災保険ですが、その内容や各保険会社の基準など複雑なことが多く、火災保険申請時に損をしている人々が多いのが現状です。

そして、火災保険の申請には、慣れない方には難しいポイントやコツがたくさんあります。
事業者災害対策機構では、高い技術と豊富な経験を持つ火災保険認定士が、火災保険によるトラブルやお困りごとに対応する『火災保険の専門団体』です。また、火災保険を活用した住宅修理のプロフェッショナルである加盟店を全国に抱えているので、あらゆる地域での火災保険に関するお困りごとに対応が可能です。

過去の損害の申請を上手く進めるためのお手伝いや、鉄工所などの建物の定期的なメンテナンス、火災保険に関するアドバイスなど、火災保険活用に関するあらゆるサービスを行っていますので、うまく活用をしていただければと思います。
火災保険に入っている以上、補償を受けることは正当な権利です。うまく火災保険を活用した修繕をお考えの鉄工業に従事される方々は、まずは全国建物診断サービスまで相談してみてはいかがでしょうか。

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