倉庫業を営む経営者向け…火災保険を活用して資金を調達する方法

工場

火災保険は、個人住宅のみが加入できるというイメージがあるようですが、実は法人向けの火災保険も各保険会社から販売されています。この法人向けの火災保険では、倉庫業を営む法人も対象となっています。というのも、火災保険の対象には、ビルや事務所・店舗だけでなく倉庫やその中の商品も含むことができるからです。そこで今回は、倉庫業における火災保険の必要性や、火災保険金を活用した資金繰りなどについて紹介していきます。

倉庫業における火災保険の活用方法とは?

活用アイデア上述の通り、倉庫業を営む法人向けの火災保険は存在し、火災や自然災害による被害から倉庫そのものや中にあるものを守ってくれます。火災保険においては、その保険の対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」という3種類があるのは、個人住宅も法人も変わりません。この「建物」には、建物本体に付帯する倉庫やフェンスなども含まれるので、倉庫も火災保険の補償対象となるのです。

ただし、火災保険の補償の対象を「建物のみ」にする場合は、中にある家財(法人の場合は商品や設備なども含む)は対象とならないので、できれば「建物と家財の両方」を補償の対象にしておくことをおすすめします。ちなみに、社用車など自動車は家財ではないため火災保険の補償の対象外となり、別途自動車保険の契約が必要になります。

火災保険の補償対象と補償内容

保険ここでは、火災保険の補償内容をおさらいしておきましょう。

火災のリスク

  • 火災:火災による被害を補償

自然災害のリスク

  • 落雷:落雷による被害を補償
  • 風災・雹災・雪災:台風や竜巻などの強風や大雪・雹などによる被害を補償
  • 水災:台風やゲリラ豪雨、河川の氾濫などによる被害を補償

事故などのリスク

  • 水漏れ:給排水設備の故障などによる水濡れの被害を補償
  • 破裂・爆発:破裂やガス漏れなどの爆発による被害を補償
  • 盗難:盗取・損傷・汚損による被害を補償
  • 騒擾などによる暴力行為:集団行動の破壊・暴力行為による被害を補償
  • 物体の落下・飛来・衝突:外部から物体が落下・飛来・衝突による被害を補償

倉庫は「建物」と判断されるため、火災保険の補償の対象になります。同様に、事務所や店舗、工場も「建物」として判断されるので、火災保険で補償されます。また、それらの中にあるものは「家財」になるので、「家財」の補償の対象にしておく必要があります。

最近の日本ではゲリラ豪雨が多発し、事務所や店舗が床上・床下浸水の被害が出てしまうことが少なくありません。しかし、この際に火災保険に加入していれば、その被害は補償されます。また、工場には可燃物が多いこともあり、引火性の高い原材料がなんらかの衝撃で引火し火災が発生したときも火災保険で補償されますので、火災保険は万が一のときの強い味方といえるでしょう。

倉庫の被害で火災保険を活用した事例

倉庫上述したような例のほかにも、倉庫では以下のような被害が起きる可能性があります。火災保険に加入していれば、これらの被害も補償対象となります。

冷凍設備が故障してしまった例

倉庫内の冷凍設備が、台風により停電が起こり冷凍庫の機能が休止してしまった。それにより倉庫内の冷蔵保存が必要な原材料のほとんどが使えなくなってしまった場合、火災保険により、冷凍設備の修理だけでなく原材料の被害も補償された。

在庫管理システムが故障してしまった例

倉庫の中の在庫管理システムの一部が、落雷の過電流により破損してしまった。在庫・発注・発送の管理ができなくなったため、事業が一部ストップした。しかし、在庫管理システムの修理費用が火災保険で補償されたため、最短で復旧してすぐに事業を再開できた。

このように、火災保険では補償の対象にならないような被害でも、火災保険で補償されることがあるので、自然災害による被害が出たときは後述する事業者災害対策機構にご相談ください。

倉庫業における火災保険の必要性とは?

必要性
このように、倉庫は建物が大きいこともあり、火災や自然災害により被害を受けやすい場所ともいえます。その倉庫の持ち主が誰かという観点から、火災保険の必要性を考えてみたいと思います。

法人は土地や建物を持たず、別のオーナーが所有しているものを借りて営業しているというケースは少なくありません。この場合は、オーナーが建物を補償の対象とした火災保険に入るので、テナントで入居する法人は家財を補償の対象とした火災保険に加入することで、火災や自然災害への被害に対処します。しかしながら、建物を対象とした火災保険に加入していないオーナーも多いという現実もあり、そのような場合は甚大な経済的リスクを背負ってしまうことになります。

また、テナントの家財に関しても、火災保険に加入していなければ、自己負担で修理・再調達を行うことになります。以下、パターン別に火災保険の必要性を考察してみましょう。

賃貸で倉庫物件・店舗を貸す「オーナー側」にとっての火災保険の必要性

倉庫物件・店舗を貸すオーナーの中で、火災保険に加入していないケースは少なくないようです。しかしこれは非常にリスクの高いことで、火災や自然災害などで建物に被害が発生したときに、テナント契約ができなくなってしまった(店舗の営業に支障が出るケースなど)は、オーナーがその修理費用を負担することになります。

しかし、火災や自然災害による被害はかなりの高額に及ぶことが多いので、経済的負担が大きくなってしまいます。また、被害を放置してしまうとテナントにも危害が及ぶ可能性があるので、すぐに修理しなければいけません。万が一のときのことを考慮して、オーナーは火災保険による備えをしておく必要があります。家賃を少し高くすることで、万全の体制にすることも検討しましょう。

関連記事:【倉庫 火災保険活用】平均200万円認定の倉庫ならではの請求方法とは

関連記事:倉庫も火災保険に加入できる? 倉庫に対しての補償内容を知ろう

賃貸で倉庫物件・店舗を借りる「法人側」にとっての火災保険の必要性

借りる法人側では、テナントの火災保険へ加入します。この場合は、火災保険の補償の対象は「家財」になります。法人の火災保険では、オフィス用具・家具のほか、商品や倉庫にある設備なども補償の対象になります。

建物、特に倉庫の中にあれば被害を受けにくいと思うかもしれませんが、倉庫は面積が広いことが多く、どこで被害が出るかわかりません。また、引火性の高い原材料がある場合では出火するリスクもあります。そして、特に店舗を併設している場合は、商品の盗難のリスクにも備えなければいけません。これらの被害が発生してしまうと、その被害の金額は甚大なものになりかねないので、火災保険でしっかりと備えておく必要があります。

火災保険を申請しておりたお金の使途は自由

自由火災や自然災害などにより倉庫に被害が出た場合、火災保険を申請することになります。では、具体的にはどのように申請すれば良いのでしょうか。以下、一般的な火災保険の申請手順を紹介していきます。

火災保険の活用に慣れている専門業者に調査・見積の作成を依頼する

まずは火災保険の活用に慣れている専門業者に、倉庫の被害の調査と修理費用の見積の作成を依頼します。優良業者ですと、火災保険を活用できるのかどうかを判断し、できる場合は書類の作成のサポートも行います。また、活用できない場合でも、依頼者の負担が少ない形の提案を行います。ちなみに、火災保険の場合は、火災保険が下りることが決定してから業者との正式契約することをおすすめします。というのも、火災保険金の支払いの最終権限は保険会社にあるため、最初の時点で100%火災保険を活用できるかは保障されていないからです。

保険会社に連絡する

火災保険の活用ができそうな場合は、火災保険を契約している保険会社に連絡して、必要書類を送付してもらいます。そして、書類一式をそろえ送り返します。この際、専門業者のサポートを受けると、保険金が支払われる確度がアップします。

損害保険鑑定人による調査が行われる

一般には、保険会社から派遣された第三者の立場である損害保険鑑定人が、提出した書類が正しいかどうか、現場で調査を行います。(ただし、被害金額が少額の場合や、明らかに被害が認められる場合は、この損害保険鑑定人による調査は省略されることもあります。)

保険金が支払われ、修理工事を開始する

保険会社は、依頼人からの申請書類と損害保険鑑定人の現地調査報告書をもとに、支払う保険金額を決定します。その保険金は、依頼人が指定した口座に直接振り込まれるので、この金額で専門業者に修理してもらうことになります。契約タイミングは、ここで大丈夫です。修理工事が完了し、専門業者への支払いが終わった後に、完了報告書を受け取り終了です。

MEMO

火災保険を申請してから保険金の振込まで1か月ほどかかるのが一般的なので、工事の期間も含めると2~3か月はかかることを想定しておきましょう。

また、火災保険がおりたときは、被害を受けた修理費用・再調達費用に使うのが一般的です。しかし、法人の資金繰りが厳しく、各種支払いや借金の返済に充てたい場合は、それらに保険金を使用しても法律的には問題ありません。これは、生命保険を受け取った場合にはその使途が自由なのと同じ原理です。つまり、火災保険金がおりたときはその使途は自由です。ただし被害が放置されるので、将来的な修理は自己負担で行うことになります。

実際に振り込まれる火災保険金はどれくらいなのか

金額それでは、倉庫で火災や自然災害が出たときにはどれくらいの保険金が支払われるのでしょうか。火災保険金は「保険価額」をもとに計算されます。これは、建物や家財を再調達するときにどれくらいの金額になるのかを計算したもので「新価」とも呼ばれるものです。この「保険価額」が火災保険金の上限となります。

例えば…

保険価額が1,000万円の契約で、被害総額が500万円だとしましょう。この場合は、被害総額が保険価額よりも低いので、500万円が支払われます。しかし、同じく保険価額1,000万円でも、被害総額が1,200万円(物価が高くなった、火災保険から漏れているものに被害が出たなどのケースが考えられます)の場合は、上限を超えているので上限の1,000万円までしか支払われません。

倉庫業の火災保険料の相場はいくら?

料金倉庫業の火災保険料の相場も気になるところです。以下、倉庫を伴うであろう工場を例にとって、火災保険料の相場を考えてみましょう。ちなみに、保険料はすべて1年間の一時払いを想定しています。

自動車修理工場の例

A保険会社の最安エコノミープランの場合、72,360円です。これは、工場の所在地が千葉県千葉市、延床面積が500㎡、保険の対象と保険金の上限が「建物・1億円」「設備・1,000万円」で計算したものです。

食品加工工場の例

B保険会社の最安エコノミープランの場合、58,690円。これは、工場の所在地が滋賀県大津市、延床面積が200㎡、保険の対象と保険金の上限が「建物・3,000万円」「設備・1,000万円」「製品・1,000万円」で計算したものです。

金属機械製造工場の例

C保険会社の一般的なプランでおよそ9万円となります。これは、工場の所在地が大阪府、保険の対象と保険金の上限が「建物・5,000万円」「設備・2,000万円」で計算したものです。

このように、業種や所在地、延床面積、保険の対象金額などで保険料は変わってきますが、ある程度の目安にはなるかと思います。実際に火災保険に加入を検討する際は、複数の保険会社から見積をもらう「相見積」を行い、最適と思われる契約内容・保険料で契約できる保険会社と詳細を詰めていきましょう。

事業者災害対策機構では倉庫の調査に関しても多数の実績があります

ビジネスマン同志の握手このように、倉庫の火災保険は万が一のときのためにも加入しておくことをおすすめします。火災保険は、火災だけでなく自然災害や事故などの損害も補償されますので、自然災害大国と呼ばれる日本においては、必須の損害保険ともいえます。また、倉庫業を営む上で、倉庫が自社のものなのか賃貸のものなのかで補償対象を調整しながら、保険料と補償内容のバランスを取っていきましょう。

そしていざ火災保険を活用するタイミングになったときには、一般社団法人事業者災害対策機構にご相談ください。当社団では火災保険を活用した工事について多くの実績を持っていますので、さまざまなケースに対応できます。また、調査・見積作成は無料で行っています。火災保険の活用だけでなく、コンサルティング会社と提携し、法人の資金繰りの相談にも応じていますので、是非お気軽にご相談ください。

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