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【事業継続計画】寺院のBCP策定の必要性と防災対策を紹介

最近、よくニュースで見かけるBCP(事業継続計画)という文字。
これは、企業が災害などで事業がストップしてしまいそうなときに、すぐに事業の継続ができるような計画を策定しておくことで、特に新型コロナウイルスで事業の運営が不安定な今、注目されるようになりました。

このBCP、企業はもちろんですが、寺院での策定も進められています。

災害時の寺院の役割

間もなく、未曽有の自然災害である東日本大震災から10年が経過します(執筆時、2021年3月8日)。このタイミングでは震災に絡んださまざまなニュースが飛び交うようになりますが、依然と比較すると国民全体の防災への関心が年々薄れ、震災の記憶が風化されていくことは課題といえます。

そして、あまり報道されることのない被災地における寺院の役割においてはなおさらです。震災後、被災者の心を癒し、被害者の弔いを行う場所として大きな社会的役割を果たした寺院ですが、その一歩で被災地の地域コミュニティを取り戻すためにも重要な役割を果たしていました。

東日本大震災においては多くの寺社が被害に

東日本大震災においては、流失、全壊・半壊・一部損壊などの被害を受けた寺院は3000を超えています。

大きな被害が出た青森県・岩手県・宮城県・福島県の太平洋側の4県の寺院数は3587カ寺ですので、そのほとんどの寺院で何かしらの被害が発生した計算となります。
特に東北は曹洞宗の寺院が多いのですが、45カ寺が全壊しました。東日本大震災では、東北以外にも北海道や関東地方でも被害が発生していますので、被害を受けた寺院の数はさらに多かったものと思われます。

瓦一枚から大きな被害に繋がるリスク

台風や地震のような自然災害に対して、寺社は意外にもろいのです。これは、建築物の規模が大きいということと、耐震補強や定期的なメンテナンスが疎かになっていることが理由となっています。

寺社の中には江戸時代以前に建設されたものも多いですが、建設時からほとんどメンテナンスを行っていない歴史的建造物も少なくありません。

特に寺院は屋根瓦が1枚外れるとそこから雨漏りが発生し、放置しておくと建物の全体を修繕することになってしまう可能性があります。たかが瓦1枚、と思うかもしれませんが、寺院は一般住宅と比較するとはるかに大きく、本堂の屋根の高さが10mを超えることは多く、はしごがないマンションの屋上の修理をするのと同じレベルの工事になってしまうため、足場を組むだけでも数百万円規模になるでしょう。

そのため、すぐに工事をしないで放置してしまうケースがあるというわけです。

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寺院における火災保険・地震保険の課題

では、寺院は火災保険に入ることはできないのでしょうか。

実は寺院向けの火災保険というのは、法人向けの火災保険と同様のもので加入できます。しかしながら、歴史的な木造建造物が多い寺院では保険料が高くなってしまうため、多くの宗教法人で加入を見送っているのが現状です。

例えば、曹洞宗の場合、全壊した寺院に向けて一律300万円を給付していますが、完全に復興するためには億単位の経費が必要になるため、どこまで有効かは疑問が残ります。やはり、万が一のためには火災保険への加入が大きな味方になると思います。

また、火災保険は地震・噴火・津波による被害は補償の対象外となるため、地震保険にセットで加入することで、寺院を地震から守ることができます。

なぜ公共施設に近い扱いを受けることもある寺院が、国や行政の補助を得られないのか。それは、日本国憲法で定めるところの「政教分離の原則」によるものです。基本的に、国や行政の再建計画から寺院は外されます。
そのため、街が復興した後に新たな寺院を建立することは難しいといわれています。もともとあった公園や学校は公費で再建できても、寺院や神社は再建できないのが現実です。

「社会資本」としての寺院の存在

しかし、寺院や神社は年中行事や法事など日本国民の生活に根付いたものです。
このような宗教行事は、地域コミュニティに強化につながり、広大な土地がある寺院や陣者では災害時の避難所として機能することもあります。
そういう意味では、寺院は「社会資本」の一部という考え方ができます。国や行政は政教分離というひとくくりでさまざまな物事を考えがちですが、このことが寺院や神社を衰退させ、地域コミュニティの弱体化につながっている可能性は否定できません。

今後、この難題を解決するためにも国や行政には柔軟な対応が求められるでしょう。

避難所としての寺院の役割

寺院は独自に災害対策に臨む必要もあります。
寺院がBCPを策定するのは、そのような意味合いもあります。BCPを策定するためには、災害時に寺院がどのような役割を果たすのかを検討しなければいけません。

木造建築が多い寺院においては、耐震・耐火の問題から「指定避難所」に認定される可能性は低いといわれていますが、大災害が起きた際は自主的な避難所としての機能は期待できます。では、実際にどのような準備をしておく必要があるかを検討しなければなりません。

以下、災害が起きたときに寺院が備蓄しておくべき内容を紹介していきます。

食料の備蓄

大きな自然災害は、発生から3日ほどで外部からの支援が届き始め、少しずつ復興に向けるといわれています。そのため、その3日間をしのげるくらいの備蓄をしておきたいところです。
具体的には、乾パンのような保存食品のほか、赤ちゃん用のミルクやおむつ、ホッカイロ、水、生理用品、毛布(暖房が止まるリスクがあるので)など、日常生活の必需品を備蓄しておきましょう。

風呂に入ることが難しくなるケースもありますので、身体を拭くためのウェットティッシュ・シートも備蓄しておくと便利です。水については、人間が生きていくためには成人で1日2~2.5リットルが必要といわれているので、多めに3リットルと見積もって、一人につき9リットルの水を用意する必要があります。
また、不特定多数の人々が共同で生活することを考慮し、ダンボール製の壁でプライベートを守れるような製品を用意しておくのも良いでしょう。

エネルギーの備蓄

各種エネルギーの備蓄も重要事項です。電気は、インバーター型発電機を用意しておきましょう。ガソリンなど燃料も必要になります。携帯電話などライフラインとなりうる機器の充電のために、水を入れれば発電できる「マグネシウム電池」や空気に触れると発電する「空気電池」のようなものも用意しておきましょう。

また、住職の家族が寺院で生活している場合は「エコキュート」を導入すると、緊急時の生活用水を貯めておくことができますのでトイレなどに困ることがありません。一方、ガスの復旧は電気よりも遅いといわれているので、オール電化にしておくことも災害時のエネルギー対策のひとつとなります。

救助について

平常時の寺院においては、高齢者が参拝されるケースは少なくありません。しかし、リアカーを常備している寺院は少ないでしょう。実はリアカー、高齢者が負傷して住宅から出られなくなってしまったときなどに役立ちます。一般家庭にはほとんどないものですので、寺院で用意しておくと重宝するでしょう。

また、怪我人や体調の悪い避難者に対応するために救急箱には多めに備品を準備しておくことも大切です。加えて、ペットボトルの水やAEDも災害時の必需品として配備しておきましょう。

各行事に合わせた対策


ここからは寺院の各行事に合わせた対策を考えます。これらの対策を書面化しておくことで、BCPがすぐに運用できるようになります。

葬式時の対策

通夜・葬儀の方法・規模などは、喪主の意向を尊重することになると思いますが、事前に緊急事態が発生したときの対応について理解を深めておくことが大切です。
しかしながら、寺院を会場として通夜や葬儀後の会食を行う場合は、原則的に控えてもらうこともひとつの方法です。近親者のみにて火葬場での直葬を済ませた後に、日を改めて寺院を利用してもらうという方法もあります。

法事時の対策

法事の方法・規模なども、施主の意向を尊重することになりますが、この場合も事前に打ち合わせをしておきましょう。
状況によっては、事態が収束してから法事を営むか、法事を見送って卒塔婆のみの供養にするという選択肢も検討しましょう。法事を取りやめる場合は、墓花・線香の供養や卒塔婆の建立などは寺院のみで行うことになります。

年中行事時の対策

春彼岸・盂蘭盆・秋彼岸など寺院では多くの年中行事が開催されます。
基本的には例年の1ヶ月前までには、開催するか否かを決定することになります。緊急事態が起きているときの墓参については、大きな被害がなければ通常通りとするのがよいでしょう。

墓参り時の対策

墓参については、年間を通して開門時間中は通常通り可能にしておくのが良いでしょう。しかしながら、各自の判断で墓参を見合わせたいという場合は、墓花・線香の供養、卒塔婆の建立などは寺院で承るようにしておくことで、混雑の緩和やリスクの回避につながるかと思われます。

いずれにしても、さまざまな状況を想定し、寺院に来られる方の安全を最優先に考慮しBCPを策定しておくことが望まれます。

自治体から助成金を受け取れる場合の活用方法

今年(2021年)も、BCPに関する助成金が各自治体から発表されることが予想されます。

現在は応募がストップしていますが、2020年度(令和2年度)の公益財団法人東京都中小企業振興公社が募集していた「BCP実践促進助成金申請案内」を参考として開設します。この助成金では、東京都にある中小企業者などが策定されたBCPを実践するための設備などの導入に必要な経費の一部を助成するというものです。

助成対象事業者となっていたのは、以下にいずれかにあてはまり、BCPを策定した中小企業者・中小企業団体でした。

助成対象事業者の条件

●平成29年度(2017年度)以降に公益財団法人東京都中小企業振興公社総合支援課が実施する「BCP策定支援講座(ステージ1)」を受講し受講内容を踏まえたBCPを策定していること
●中小企業強靱化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受けその内容に基づいてBCPを策定していること
●平成28年度(2016年度)以前の東京都もしくは東京都中小企業振興公社が実施したBCP策定支援事業などの活用によりBCPを策定していること

助成対象経費は、策定されたBCPを実践するために必要な設備・物品の購入、設置に関わる費用で、自家発電装置・蓄電池やクラウドサービスを含む安否確認システム、制震・免震ラックや飛散防止フィルム、従業員用の非常食や簡易トイレ、耐震診断などが含まれていました。

ちなみに助成率は、中小企業者などで助成対象経費の1/2以内、小規模企業者で助成対象経費の2/3以内、感染症対策を含むBCPを実践する場合は助成対象経費の4/5以内となっていて、助成上限額は1500万円でした。
今後、寺院でBCPを策定する際はこのような助成金を上手に活用することも検討しましょう。

このような寺院のBCPの策定や火災保険については、一般社団法人事業者災害対策機構にご相談いただけますと、これまでの豊富なノウハウから、最適な解決策をご提案させていただきます。

万が一の災害時に迅速に行動できるようにするためにも、BCPの策定や火災保険への加入を検討することをおすすめします。

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