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一般住宅(お住まい)と企業経営者(建物管理者様)へ、水災対策についてお伝えします!

2019年10月、過去最強クラスの台風19号の発生により、多くの人が氾濫の危険性や避難情報を伝える緊急速報メールが止まらない中で、恐怖の一夜を過ごしたことは記憶に新しいことではないかと思います。
このときの大雨によって、東京23区、神奈川県の一部地域、武蔵小杉のタワーマンション等が浸水し、建物に対して深刻な被害を受けたり、タワーマンションでは地下の電源を担っている部分が機能しなくなったりと、多くの甚大な被害が報告されました。

台風19号では、台風及び水災の恐ろしさや、事前対策の重要性など多くのことを改めて実感された方も多いのではないかと思います。
本記事では、水災に関する基礎知識や、一般住宅(お住まい)と企業経営者(建物管理者様)向けに水災対策に関する情報を解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

「水災」とは何だろう?


「水災」とは、その名の通り、水による災害の総称のことを指します。そのほかにも「水害」や「水災害」とも呼ばれています。水が直接的に害を及ぼす被害だけでなく、間接的に引き起こされた被害も含んでいます。

火災保険における「水災補償」はどんなもの?


住宅や建物に対して、火災保険をかけている方は比較的多いのではないかと思います。火災保険は、『住まいの総合保険』と呼ばれており、火災はもちろんのこと、風災や地震、落雷、盗難などのあらゆる自然災害や事故における損害を補償してくれる、非常に心強い保険です。

火災保険は、被保険者自身が加入する際に、基本補償内容に、オプションの補償内容を追加していくカスタマイズ方式の保険です。水災補償は、このオプションの補償内容として用意されているケースが多く、追加するかしないかは被保険者の自由となっています。
ちなみに、補償対象も「建物」と「家財」の2種類から選択することができ、どちらか一方でも、両方を対象とするのでも大丈夫です。

水災補償で補償される災害内容

それでは、水災補償によって保険金を補償してもらえる災害内容をあげていきます。

洪水

台風や暴風雨、雪解け水などによって、通常の範囲を超えて大量の水があふれる現象のことを指します。またゲリラ豪雨などによって、マンホールや下水管などから水があふれ出すといった、「都市型水害」もここでの洪水に入ってきます。

高潮

台風や発達した低気圧により、高波やうねりが発生して、海面の高さがいつもより異常に高くなる現象のことを指します。内陸部や高いところに住む人は、そこまで心配する必要はないでしょう。

土砂崩れ

大雨などにより地盤がゆるんだ結果起きる、地滑りやがけ崩れ、土石流などを指しています。特に山や崖の近くに住んでいる人が注意すべき被害かと思います。

水災と間違えやすいもの

続いて、多くの人が水災と間違えやすく、「水災補償で補償されると思っていたのに、いざとなったら適応されなかった!」というケースが起こり得る損害についてご紹介します。

雪災や雹(ひょう)災

雪や雹(ひょう)による損害は、水災ではなく「風災」に分類されます。

水漏れ

トイレや排水管が詰まったり、マンションなどの場合に上階から水が漏れてきたりと、自然災害以外が原因となる水の被害は、水災には分類されません。
自分以外の外的な要因による損害に対して補償をつけるのであれば、別途オプションで補償内容を追加することが必要です。

地震が原因となる水災は、水災補償に入らないので注意!

まず大前提として、火災保険は、地震による被害に関しては保障してくれないものが多いです。そのため、「地震保険」というものが別途保険商材として用意されています。例えば、津波は水害ではありますが、原因が地震なので、水災には当てはまらないということになります。また、洪水や高潮、土砂崩れなどの原因が、地震によるものであった場合も補償の対象外となります。
つまり、水災補償は「地震以外の自然災害が原因による、水が引き起こす損害を補償してくれるもの」と覚えておいていただければと思います。

水災発生から3年以上経過している場合も水災補償の対象外です

どの保険会社でも、水災発生から3年以上経過している損害箇所に対して補償を求めても受け入れてもらえることはほとんどないと覚えておいてください。この「3年」という期間は保険法でも定められているため、一度断られてしまうと覆すことは難しいです。ただし、保険金を受け取る権利が消滅するわけではなく、過去にも保険会社に相談した結果、要求が通ったケースもありますので、あきらめずに一度連絡を入れてみても良いかと思います。
また、このような場合は、保険会社に申請をする前に、保険のプロに交渉の仕方を相談してみてもよいかもしれません。

水災補償を受けられる条件とは


水災補償を受けるためには、保険会社に申請した損害が、“水災によるもの”と判定されなくてはなりません。

①補償対象が時価の30パーセント以上の損害を受けた場合

前述したとおり、火災保険では補償対象を被保険者自身で決めます。水災補償では、その補償対象にしたものが、水災によって時価の30パーセント以上の損害を受けた場合に適応がなされます。

②床上または地盤面から45センチを超える浸水による損害を受けた場合

また、床上浸水をしてしまった場合でも、床上または地盤面から45センチを超えなくては、水災補償で補償を受けることができません。

もちろん、こちらの基準は各保険会社によっても異なりますが、大抵は「時価の30%」、「床上浸水」といったところをボーダーにしているようですね。床下浸水で水災補償を受けられることは滅多にないようなので注意が必要です。

保険金はどのくらい受け取ることができるのか


水災補償でどのくらいの保険金を受け取ることができるのか割り出す計算式は、「受け取る保険金=損害額−免責金額」となります。
この受け取る保険金は、支払った保険料を上限としており、現在は被害を受けた総額を100パーセント補償してくれるものがほとんどです。実は過去には、最大70パーセントしか補償されなかったので、私たち被保険者にとってはとてもポジティブな変化です。
ただし、契約内容や状況によっては、すべて補償してもらえない場合もあるので事前に確認をしてみてください。

一般住宅(お住まい)で実施したい水災対策について


もちろん、保険にしっかり入っておくことはとても重要なのですが、ご自身でもできる水災対策をご紹介します。

ハザードマップで調べる

「ハザードマップ」とは、災害の種類や規模を予測し、安全な避難経路や避難場所を書いた地図のことを指します。事前に、周辺で起こり得る水災リスクを把握しておくだけでも、万が一の場合に、何が必要かどのように動けばよいのかの心構えをしておくこともできます。

簡易水のうの設置

「水のう」とは、小規模な水災により、水が家の中に入り込みそうになった場合に、その水をせき止めて、浸水を防ぐために使用するものを指します。実はこの水のうは、簡易的なものであれば、ゴミ袋で簡単に作成することができます。

作り方

① ゴミ袋を二重にします。
② その中に半分程度水を入れます。
③ 袋の中の空気を抜いて、口を結び完成です。

その他にも、作成した水のうを段ボール箱に入れて隙間の内容に並べたり、水のうでなくてもポリタンクやプランターを連結させて置いたりする方法もありますので、ご自身のやりやすい方法を見つけてみてください。

土のうの設置

「土のう」も水のうと同様に、水が家の中に入り込みそうになった場合に、その水をせき止めて、浸水を防ぐために使用するものです。布袋の中に土砂を詰めており、水のうよりも強度は上がります。
市内のごみステーションや公民館などに土のうステーションを設置しているところも多く、何かあった場合はこちらから借りることも可能です。しかし、広範囲での水災が発生した場合は、足りなくなってしまう場合も考えられますので、ご自身で用意することも検討してみてください。

住宅の周辺の水はけを良くしておく

住宅の周辺の用水路や溝に、落ち葉やゴミなどが溜まっていると、水災が起こった際に、詰まってしまい雨水が処理できなくなります。そうすると、敷地内や道路が冠水してしまう恐れがあり、二次被害をもたらしてしまう場合も想定されます。
日頃から、定期的に住宅の周辺や地域の用水路や溝などの点検や、ゴミの清掃を行っていただければと思います。

企業(建物管理者様)で実施したい水災対策について


飲食店や工場、事務所などへの浸水は、今後の事業継続において大きな影響を及ぼす恐れがあるため、水災対策を行うことは非常に重要です。大規模な設備投資を行うなどは非常に有効なのですが、中々難しいものだと思いますので、ここでは事前に検討できる水災対策について解説していきたいと思います。

浸水対策に関するものを用意する

住宅と同じく、水のうや土のうを用いて、建物の中へ侵入する水を防いだり、「止水板」という、建物に水が入らないようにしたり水の侵入を防いだりするために出入り口などに設置する板を用いたりすることが考えられます。

ハザードマップで調べる

こちらも住宅での対策と同様で、事前に、事業所の周辺で起こり得る水災リスクを把握しておくだけでも、万が一の場合に、何が必要かどのように動けばよいのかの心構えをしておくことができるでしょう。

水災を想定したBCP(事業継続計画)を作成する

「BCP(事業継続計画)」とは、自然災害や事故などが発生し、事業を継続するために業務への影響を最小限に抑え、業務を中断せざる負えなくなったとしても、できる限り迅速に業務を再開できるように、復旧対策の対策を事前に計画しておくことです。
水災を想定したBCP(事業継続計画)を作成し、事前の想定や訓練、教育を行っておくことによって災害発生時に冷静に対処できるようになるはずです。

事業継続に不可欠なものを高い位置に配置して守る

企業には、事業継続のために必要な設備や物資、金銭関連のものも保管されていると思います。万が一水災による被害にあった場合、建物に損害を受けたとしても、事業継続のために必要なものが無事であれば、事業がストップすることは避けることができます。水災に対しての対策で最も取り入れやすいことであれば、そのようなものを、日ごろからできるだけ高い階層に持っていっておくことが考えられます。

『動産総合保険』に加入する

動産総合保険は、不動産ではなく“動産”を補償の対象としている保険です。動産とは、一般的にはお金以外の「動かすことのできる財産」を指しています。前述した、事業継続のために必要な設備や物資などは動産に当たります。動産をできるだけ高い層階に持っていくことも有効なのですが、保険に加入しておくことで守ることも検討できます。

ただし、保険会社によっては、水災に対する補償は別途のオプションとなっているケースもあるようですので、ご自身が加入、または加入を検討している動産総合保険を一度確認してみてください。
企業の設備は1台で高額なものが多いと思われますし、破損してしまうと事業自体が継続できないものもあると思いますので、この際に是非検討してみてはいかがでしょうか。

結局、水災補償は必要なの?


ここまで、水災補償や対策に関して解説してきましたが、結局のところ加入している火災保険に、水災補償を付けることは必要なのでしょうか。
こちらに関しては、この記事をご覧になっているひとりひとりの状況や、周辺の環境によっても、水災の危険度が異なりますので、一概には言えません。

例えば、市街地にある高層マンションに住んでいる人は、問題ないとはしても、低層階に住んでいる人や海や河川、山の近くに住んでいる人は、近隣地域の水災の危険度は高くなります。また、2019年10月の台風19号による広範囲での被害があったように、市街地でも安心できないほどの規模の災害が、今後も起こることも十分に考えられます。
ちなみに、この10年間で一度も水害が発生していない地域は日本全体のわずか3%と言われていることも頭に入れておいていただければと思います。
これらの事実と、ご自身の置かれている環境に関して十分に調べていただき、最適な選択をしていただければと思います。

水災に対するご相談は事業者災害対策機構へ

火災保険は、住宅の規模や家族構成、立地、起こり得るリスクをきちんと把握したうえで、補償の範囲や内容を正しく選択することで、とても心強いものとなります。
しかし、水災補償に関してもそうであるように、保険商材は素人目にはいろいろと判断が難しく、本当に必要な補償なのか、「このケースは補償されるのか?」というような疑問が生まれやすいと思います。これから、火災保険を契約しようとしている人はもちろん、すでに契約している人も、水災補償を付けるべきなのかなどの相談を、事業者災害対策機構へしてみてはいかがでしょうか。

また、事業者災害対策機構は、全国の火災保険の申請に慣れている業者と提携をしており、火災保険の相談や建物の診断も行っています。例えば「3年以上前の水災による損害は保険適応されるのか?」「保険会社に水災補償での申請を断られてしまった!」などのお悩みがある場合も、力になれるので気軽に問合せをしてくださいね。

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