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店舗における修繕・改修工事の成功と失敗の事例を知って費用対効果を高めよう

 

 

「店内のレイアウトを変更したい」

「見た目が古臭いから新しくリフォームしたい」

 

こういった悩みを持った経営者はとても多いです。

 

店舗を経営していると定期的に内装を修繕・補修をおこなう必要があります。

特に築20年以上の建物については外装や設備も、修繕・改修することが多く大掛かりな工事になるでしょう。

 

このとき工事を業者に依頼することになりますが、実際にどのような工法が必要なのかを理解していないことがほとんどです。

 

そこで店舗の修繕・改修工事が成功した事例、失敗した事例について詳しく見ていきます。店舗の修繕・改修工事をおこなう参考になれば幸いです。

 

店舗の修繕・改修工事をおすすめする理由

 

店舗の修繕・改修工事をおこなう理由は3つあります。それぞれについて詳しい理由を解説します。

 

  1. 売上の向上や集客につながる
  2. 経費の削減になる
  3. 設備更新による助成金や節税効果が見込める

 

店舗経営において売上を決めるポイントはリピーターの確保です。

そのため経営者は「いかにしてお客様にまた来てもらえるか」というこ

  • 売上の向上や集客につながる
  • 経費の削減になる
  • 設備更新による助成金や節税効果が見込める
  •  とを考えます。

     

    その方法の1つが店舗の雰囲気を変えることです。

    重要視されるのが店舗の内装です。

    内装はお客様がリピートするための、重要なポイントの1つと言えるでしょう。

     

    そのため、店舗では内装のレイアウトにこだわります。

    しかし、内装にこだわりすぎると簡単にレイアウトを変更することができません。

     

    そこで店舗の修繕・改修工事をおこない、レイアウトの変更をおこないます。

    工事終了時に新しくオープンするので話題性も抜群です。

     

    また店舗の修繕・改修工事をおこなうとき、あわせて設備の交換をおこなうことで経費の削減が可能です。

     

    店舗によっては24時間営業していることもあり、光熱費の削減効果が大きな影響を与えます。

     

    さらに設備更新による助成金というものも存在します。

    有名なものではLED照明を採用したときに支払われる省エネ補助金があります。

     

    LED照明には節電効果もあり、長い期間で考えるとお得になるというケースがあるでしょう。

     

    省エネ補助金をうまく使うことで工事の費用を抑え、光熱費削減の差額分で利益を生み出すことも可能です。

     

    節税については事業内容や規模にもよるため、一概に効果があるとは言えません。

    しかし、対象によっては大きく得することがあるため税理士に確認することをおすすめします。

     

    店舗の修繕・改修工事には多くのメリットがあるでしょう。

    しかし、無計画におこなうと失敗してしまいます。

    そこで、成功した事例と失敗した事例の差を確認していきましょう。

     

    店舗における修繕・改修工事の成功例を紹介

     

    今回のモデルケースは次のようになります。

    • 店舗は小型とし、従業員はアルバイト含み15人程度とする
    • 工事期間は1ヶ月程度とし、その間も従業員に対して人件費は発生する
    • 年間の売上は2,000万円、利益は200万円程度とする
    • 工事期間中は店を閉めており、その分は損益として計上する
    • 工事内容は設備リニューアル、内装変更、外構の変更をおこなう
    • 工期については充分に確保しているものとする
    • 工事費用は一般的な金額とし、相場からかけ離れていないものとする
    • 工事に必要な配慮を店舗側から受けられるものとする(資材置き場等)

     

    今回のモデルケースで重要な売上の増加、経費の削減について確認をしていきます。

     

    まずは売上の増加についてです。

    売上の増加は業種や周囲の環境要因によって、変化するため一概にいくら増加するか断言はできません。

     

    そこで一般的な売上の伸び率から平均を算出し、今回は前年度比で115%の売上の増加を見込めるものとします。

     

    今回のモデルケースの場合、年間の売上が2,000万円なので、2,300万円に増加します。

    利益についても同様に230万円に増加するものとします。

     

    また光熱費の削減についても同様に算出していきます。

    店舗運営にかかる費用はそれぞれ以下の通りです。

     

    • 商品原価 3割
    • 人件費  3割
    • 光熱費  2割
    • 雑費   1割
    • 利益   1割

     

    今回のモデルケースの場合、光熱費は年間売上の20%なので400万円が光熱費にあたります。

    そこから設備変更による光熱費の削減額を算出します。

     

    LED照明の導入、空調機の入れ替えや設備の更新により光熱費は30%ほど削減されると言われています。

    よって400万円の30%である120万円が光熱費の削減額となります。

     

    以上の2つから店舗の修繕・改修工事をおこなうことで、年間150万円の増益が期待できます。

    設備の寿命が約10年ということで、総工費は1,500万円以下に抑える必要があります。

     

    上記は経営に大切な考え方なので、工事計画を考えるときは意識しましょう。

     

    さらに確認したいこととして、修繕・改修工事に対して省エネ補助金が使えるかどうかです。

     

    先ほど計画したLED照明の導入や空調機の入れ替えには補助金が払われるものがあります。

    省エネ補助金は政府が中心になっておこなうもの、地方自治体が中心におこなうものと2種類があります。

     

    どちらも環境に配慮した事業を推進するために、基準を満たした省エネに繋がる設備を導入する必要があります。

     

    省エネ補助金は公募での募集となり、年間の予算を超えてしまうと募集が締め切られてしまいます。

    そのため、公募が始まる4~5月に申請をおこなう必要があります。

     

    補助金の額は内容によって変わりますが、設備の約半額が相場と言われています。

    今回のような店舗の修繕・改修工事にも、使うことができるのでぜひ活用していきましょう。

     

    工事にかかった費用と施工期間

     

    工事にかかった費用を算出していきます。

    今回は店舗の改修・修繕工事であり、比較的規模が小さいです。

    そのため足場の組立や現場事務所の設置といった、仮設の費用はほとんどかかりません。

     

    また費用の中には一部補助金が出るため、もっとも安い額になっていないものがあります。これらを考慮して作られた工事にかかる費用が、下記の表となります。

     

    工事名 工事内容 材料費 人工 総額
    内装工事 ・外壁、内壁の補修

    ・塗装補修

    ・断熱補修

    ・インテリア変更

    100万円

    (インテリア内容により変動あり)

    35人工

    (単価2万円)

    170万円
    電気設備工事 ・配線盛替え

    ・照明撤去

    ・LED照明取付

    55万円

    (一部補助金あり)

    15人工

    (単価3万円)

    100万円
    空調衛生工事 ・ダクト盛替え

    ・空調機撤去

    ・空調機取付

    200万円

    (一部補助金あり)

    20人工

    (単価3万円)

    260万円
    外構工事 ・駐車場整備

    ・看板変更

    20万円 5人工

    (単価2万円)

    30万円

     

    表のから求められる工事の総額は560万円ですが、これは業者の原価にて計算しているため実際の金額ではありません。

    実際はこの560万円に1.5倍を掛けた840万円程度が工事費の相場となります。

     

    今回のケースの場合、予備費込みで工事の総額は約900万円と想定します。

    そこから省エネ補助金の分だけ減額が可能です。

     

    省エネ補助金に該当するのが電気設備のLED照明取付、空調衛生工事の空調取付になります。

     

    今回のモデルケースではLED照明を1台1万円で25台、空調機を1台40万円で4台入れ替えることを想定しています。

    合計185万円のほぼ半額である90万円は補助金でまかなえると考えています。

     

    以上のことから工事にかかる費用としては約810万円と想定できます。

     

    施工計画と工程表

     

    店舗の修繕・改修工事をおこなうとき、施工計画を検討することは重要です。

    今回のモデルケースの場合、工事期間が1ヶ月とかなり短いので特に重要となります。

     

    工事には「後工程」と呼ばれる施工する順番に制約があるものが存在します。

    例えば外壁・内壁の工事をおこなうとき、先に塗装の補修はできません。

    なぜなら塗装した壁面を補修する可能性があるからです。

     

    そのため施工計画を検討するときは、必ず塗装が後になるように計画を立案します。

    施工計画には工事を円滑に進め、なおかつ無駄な手間を省くという目的があります。

     

    この施工計画を表にまとめたものを工程表と呼びます。

    見出し下部にある工程表が今回のモデルケースのものです。

     

    照明や空調を撤去後、新しく設置するための配線をおこなうといった後工程が守られていることが分かります。

     

    施工計画や工程表は原則依頼した業者が提出してきますが、施主となる方々も意見を出すことが理想とされています。

    もし施工計画や工程表に疑問を持った場合、施工担当者に確認するように心がけましょう。

     

    修繕・改修工事が成功した理由

    今回のモデルケースで修繕・改修工事が成功した理由は2つあります。

    それは適性の予算内で工事が完了したこと、そして工期が守られるように工夫がされていたことです。

     

    修繕・改修工事は費用がかかることが多く、かけた費用に見合わないということが発生します。

     

    これを防ぐためには予算の算定が重要です。

    今回のモデルケースでは増益や経費削減の合計を算定してから、修繕・改修工事の費用を決めました。

     

    このとき、予算を超えているのなら工事をおこなわないほうがお得ということになります。

    工事前には必ず予算の算定をおこない、損することがないように意識していきましょう。

     

    また工期が守られることも重要です。

    今回のモデルケースでは工事期間中は店舗を営業していません。

     

    しかし、従業員には給与を保証する必要があります。

    そのため工期が延びてしまうと売上がない状態で、従業員の給与を保証する期間が長引いてしまいます。

     

    工期を守ることは利益を確保することに繋がります。

    必ず施工計画を検討し、それに沿った工程表で施工計画を管理できるようにしましょう。

    もし疑問があるときは担当者に確認することも、忘れずにおこないましょう。

     

    店舗における修繕・改修工事の失敗例も紹介

     

    今回のモデルケースは次のようになります。

    • 店舗は小型とし、従業員はアルバイト含み15人程度とする
    • 工事期間は1ヶ月程度とし、その間も従業員に対して人件費は発生する
    • 年間の売上は2,000万円、利益は200万円程度とする
    • 工事期間中は店を閉めており、その分は損益として計上する
    • 工事内容は設備リニューアル、内装変更、外構の変更をおこなう
    • 工事費用は一般的な金額とし、相場からかけ離れていないものとする

     

    また総工費についても、成功例のときと同様に1,500万円以下と想定します。

    成功例との違いとしては以下の3つがあります。

     

    • インテリアの変更に予算をかけすぎている(成功例に比べて+100万円)
    • 工期の確保が十分ではない(予備日程を用意できていない)
    • 省エネ補助金といった制度を把握していない

     

    失敗理由1 費用対効果が合わない

     

    店舗の修繕・改修工事に失敗する理由の1つが、費用対効果を考えずに予算を組むことです。

     

    設備や空調といったものは値段相応の効果が期待できますが、インテリアや内装といったものはそれが直接売上に影響するかは未知数です。

     

    今回のモデルケースの場合内装へのこだわりが強いため、追加で100万円分インテリア変更に予算を使っています。

     

    しかし、このインテリア変更分で売上に影響はほとんどありませんでした。

    結果としては100万円分の損をした形となります。内装にこだわりを持つことはよいことですが、必ず売上に繋がるものではないので注意しましょう。

     

    失敗理由2 工期が間に合わない

     

    店舗の修繕・改修工事に失敗する理由の1つが、十分な工期を確保できていないことです。成功例との違いとして予備日程が確保できていません。

    そのため、多少のトラブルでも工期が間に合わなくなる可能性が高いです。

     

    店舗の修繕・改修工事は規模の小さいものが多く、工期も短めに設定されがちです。

    工期が短いということは、自然災害や環境要因で工事が止まったときに挽回することが難しくなります。

     

    そのため必ず工期に余裕を持たせることが重要です。

    この工期の設定は施工計画を作るときに決定するので、必ず検討をおこないましょう。

     

    工期に長期の遅れが発生すると店舗が使えない期間が増え、従業員の給与を負担する期間が長くなります。

     

    売上がない状態で負担が増えることは厳しいので、施工計画の時点で意識するようにしましょう。

     

    失敗理由3 補助金の受け取りや節税といった目的が達成できない

     

    店舗の修繕・改修工事に失敗する理由の1つが、補助金や節税について充分な知識がないまま実行してしまうことです。

    例えば省エネ補助金の場合、募集は公募で費用に上限があります。

     

    そのため公募が打ち切られたあとに応募することはできません。

    省エネ補助金を計画に入れる場合は、期限の確認をおこないましょう。

     

    また応募の条件の中に「着工前である」というものがあります。

    省エネ補助金は審査があり、応募時点で工事が始まっていないことが条件となっています。

    応募する前提で計画を立案しても、申請できないのでは意味がありません。

     

    政府が主導したもの、地方自治体が主導したものそれぞれ条件が違います。

    必ず条件を確認してから施工計画を検討するようにしましょう。

     

    また節税対策で工事をおこなうときは、普段の工事のときと違い安く済ませるほうがよいとは限りません。

     

    そのため、節税のための工事を計画するときは税理士への相談をおこなうようにしましょう。

     

    失敗事例から学ぶこと

     

    失敗した事例から、工事は始まる前の計画がもっとも重要であることが分かります。

    特に施工計画の算定、予算の算定は利益を出すために重要です。

     

    業者に見積もりを頼むときに明確な予算や工期があると対応がしやすいので、自分でも検討する必要があります。

     

    また補助金や節税については要項が多く、素人では完全に理解することが難しいです。

    そのため専門家に相談することも重要です。

    補助金の場合は、地方自治体が相談会をおこなっていることが多いです。

     

    相談は無料なので工事を計画するときは、必ず活用していきましょう。

    節税については税理士が相談対応しています。

    もし顧問の税理士がいる場合、必ず相談して計画を立案しましょう。

     

    店舗の修繕・改修工事で失敗しないためには事前検討が重要

     

    店舗の修繕・改修工事で失敗しないためには「予算・施工計画・補助金の活用」が重要です。

     

    特に予算や補助金は工事が始まってからでは手遅れなことが多いです。

    もし修繕・改修工事を検討している人は、前もって算定するようにしましょう。

     

    施工計画も業者のものをそのまま鵜呑みにするのではなく、なぜその順番でおこなわれているのかを理解できるようにしましょう。

    工期の遅れがないように、しっかり確認ができるようになりたいです。

     

    店舗の修繕・改修工事を検討している人の、参考になったら幸いです。

     

     

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