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ビニールハウスに適した保険と補償内容とは?スマート農業におすすめの保険もご紹介します

近年、温暖化の影響か台風や大雨など全国で天候不順による自然災害が多発しています。
最近の自然災害での被害に関するニュースは、みなさんの記憶にも新しいことなのではないかと思います。
そして、その中でも被害を受けやすい代表的な建物として『ビニールハウス』があげられます。簡易的な構造のビニールハウスは、台風や大雨により全壊したり大破したりしてしまうことが多く、農業従事者の方々にはしっかりと対策をとっていただきたいものです。

本記事では、ビニールハウスに適した保険の種類や補償内容とは何なのか、また、近年注目されている“スマート農業”に適した保険などの情報も解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

ビニールハウスが自然災害の影響を受けやすいワケ


ビニールハウスとは、農業において、栽培する農作物に適した環境を人工的に作り出します設備のことです。ビニールハウス内で農作物を育てると、季節に関係なく栽培することが可能となり、一年中安定して農作物を栽培して、収穫できる点がメリットです。
多くのビニールハウスは、金属とプラスチックからできています。プラスチック素材は外側と内側の二重構造となっており、外張りの部分は塩化ビニールフィルムとポリオレフィンフィルム(POフィルム)の2種類が主流となっています。一方内張り部分は、ポリエステルやポリエチレン、塩化ビニール、酢酸ビニール、ポリオレフィン(PO)、ポリビニルアルコール(PVA)などさまざまです。
このように、ほとんどは金属の骨組みとビニールで構成されているので、鉄骨や木造の建物よりも“風災”に弱いということは安易に予想がつきます。

ビニール素材を変えたらいいのではないの?

このような意見もあるかと思いますが、実は農業を行うことにおいて、ビニールを用いた栽培所は非常にメリットが多いのです。
例えば、「保温性に優れている」「室温を調節しながら日光を取り入れることができる」「広範囲にわたる敷地で低価格で取り入れることができる」などの理由が挙げられます。
もちろん、現在は様々なハウスの種類があり、ガラスや特殊なビニール素材など、耐久性や農作物の育てやすさに優れたものが、どんどん開発されて出てきています。

ビニールハウスにはどの保険が適しているの?


それでは、ビニールハウスが入っておくべき保険の種類と内容を解説していきます。

なんと言っても火災保険はマストです

日本は「災害大国」と呼ばれているように、台風や地震、大雨などの危険と隣り合わせています。そのため、法人・個人ともに大抵の方が、災害による被害に備えて加入しているものが火災保険となります。
火災保険は「住まいの総合保険」と言われているように、火災はもちろんのこと、風災、雪災・雹(ひょう)災、落雷、破損など多くの自然災害や事故による、“建物”と“家財”の2つの損害を補償してもらえることが特徴です。この2種類は、必ず補償対象にする必要はなく、被保険者自身がどちらか一方、またはその両方を自由に選択することが可能です。

民間の保険に加入する場合

ビニールハウスが火災保険に加入する場合は、住宅用の火災保険ではなく、各保険会社が提供している『企業総合保険』という事業者向けの火災保険に加入をする必要があります。
ちなみに、企業用の火災保険では「地震補償」が付いていないケースが多いので、別途で加入しておくと安心です。
こちらに加入する際は、各保険会社へ直接問い合わせをするか、保険代理店を通じて手続きを行ってください。

NOSAIで加入する場合

みなさんは「NOSAI」を知っていますか?農業従事者の方であれば、一度は耳にしたことがあるのではないかと思います。
NOSAIとは、“農業共済組合”のことで、農業災害補償法に基づき農業災害補償制度を運営する農業団体です。その管轄する区域内の農家が、組合員となって運営する法人として存在しています。
NOSAIには、園芸施設が損害を受けた場合に補償される『園芸施設共済』というものがあり、こちらの補償内容には、「風災・水災・雪災・雹(ひょう)災・その他気象上の原因による災害」があります。また、オプションの補償内容として、「附帯施設・施設内農作物・撤去費用・復旧費用」があります。
こちらに加入する際は、NOSAIの窓口にて手続きを行ってください。ただし、NOSAIの会員限定となりますので覚えていていただければと思います。

ビニールハウスメーカーの保険

ビニールハウスを購入する際に、同時にそのビニールハウスーカーが提供する保険に加入するパターンもあるようです。
補償内容としては、民間の保険会社が提供しているものと大きく変わりはないのですが、部品やフィルムの交換など、メーカーならではの細かい補償内容もあるようです。

自然災害や事故によって農作物を作れない・・・補償はあるの?


例えば、「台風によってビニールハウスが損壊してしまい、農作物が育てられず、売上が激減してしまった!」というように、自然災害や事故によって収入が減ってしまったという経験をお持ちの農業従事者の方もいらっしゃるでしょう。その際に補償してもらえる保険などがあるのか気になりますよね。
こちらではそのようなケースについて解説していきます。

『農業経営収入保険』への加入がおすすめ

農業経営収入保険制度は、自然災害によって農作物の収穫量が減少したり、価格が低下したりするなど、農家の収入減少を補填してくれる保険です。この保険は、農林水産省によって2019年1月からスタートしたもので比較的新しいものになります。
農業従事者の減少や、第一次産業の盛り上げを目的として、収益性の高い新規作物の生産や、新たな販売販路の開拓にチャレンジしてもらうなど、農業従事者の意欲促進が期待されています。

NOSAIでも対応しています

NOSAIの『農作物共済』『畑作物共済』『果樹共済』も、火災や風災、水災、地震、雪災などの自然災害や、病虫害や鳥獣害による被害による収入の減少に対して補償をしてくれますので、チェックしてみてください。

ビニールハウスと住宅の共有部分が損害を受けた場合はどうするの?


ビニールハウスをお持ちの方の中には、「ビニールハウスと住宅がフェンスなどで仕切られている」という人もいらっしゃるでしょう。自然災害や事故による損害が、ビニールハウスと住宅の共有部分に出てしまった場合は、どのように保険を使い分ければよいのでしょうか。

基本的にはビニールハウスの共有部分も補償される

民間の火災保険でも、NOSAIの園芸施設共済でも、フェンスなどのビニールハウスと住宅の共有部分に損害があった場合には補償がされます。ただし、ビニールハウスの“附帯施設”の種類は、各保険会社によって異なっていたり、オプションでの契約となったりしているケースも多いので、確認が必要です。
また、住宅にも火災保険のような損害保険をかけている場合は、“建物”の補償内用として対応してもらうことができますので、被保険者都合でどちらの補償内容を活用するか決めていただいて大丈夫です。

外構部分(フェンス・門柱・門扉)が損害を受けた場合はどうするの?


自然災害時や事故の際に、損害を受ける可能性があるのは、ビニールハウス、またはビニールハウスの付帯施設だけではありません。フェンスや門柱、門扉などのビニールハウスの外構部分が損害を受けてしまった場合は、保険の適応がされるのでしょうか?

外構部分は“建物”に分類される!

フェンスや門柱、門扉などは、火災保険における“建物”に分類されます。そうであるため、あなたが前述したとおり民間の火災保険に加入している場合は、“建物”を補償対象として契約していない場合は、当然ながらビニールハウスの外構部分は補償されることはありません。

NOSAIでは『建物共済』に加入している必要がある

前述した、園芸施設が損害を受けた場合に補償される『園芸施設共済』では、フェンスや門柱、門扉などのビニールハウスの外構部分の補償はありません。あくまでビニールハウスに関連するもののみの保険となります。
外構部分に関する補償を受ける際には、『建物共済』に加入している必要があります。建物共済は、農家が所有している“建物”への損害を補償してくれるもので、火災などの事故に加えて、地震や風災、水災などの自然災害も補償対象としています。

最近流行りの“スマート農業”向けの保険ってなんだろう


みなさんは、“スマート農業”というワードを耳にしたことはありますでしょうか?近年、さまざまなメディアでも取り上げられているものですので、段々と身近になってきたような気がします。
スマート農業とは、ロボット技術やICT(情報通信技術)、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの最先端技術を活用し、超省力化や生産物の品質向上を可能にする新しい農業のことを指します。
これにより、「大規模生産の実現」「収穫量や生産品質の向上」「病害の予測や生育の診断」「作業の安全性の確保」など、農業におけるあらゆるメリットを実現できることになります。

スマート農業普及の流れによって、これまで低迷を心配されていた一次産業が、若者やセカンドキャリアを考える人々から注目を集めており、好転傾向となっています。そのため、ビニールハウスをはじめ、さまざまな設備を導入して農業をスタートされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、現在ビニールハウスで農業を営んでいらっしゃる方の中にも、ひと昔前と異なり、新しい技術を活用されて運営されている方もいらっしゃるかしれませんね。

『農業用ドローン保険』が登場

スマート農業の代表的なものとして、自動飛行で農薬を散布する農業用ドローンがあげられます。例えばこの農業用ドローンが「飛行中に事故を起こしてしまった!」「ドローンでの農薬散布後の農作物に病気が発生した」というような際の、損害賠償に対して補償をしてもらえます。

情報漏洩リスクには『サイバーリスク保険』

近年の農業では、顧客管理や農作物の管理など、コンピューターを用いてシステム上で行っている方も多いのではないかと思います。その際に心配されることは、さまざまな情報が流れてしまうということです。農家が管理する情報の中には、漏洩してしまうと損害賠償事件まで発展してしまうものもあるので、『サイバーリスク保険』、または『個人情報漏洩賠償責任保険』などに加入しておくと安心かと思います。

『動産総合保険』はあらゆる機械や設備を守ってくれる

ちなみに、農業用の機械や設備に特化した保険も存在しています。スマート農業に限らず、農業にはさまざまな機械や設備を活用されていると思います。その中には、高価だったり、繊細なものだったりと注意点があると思います。農業にとって、機械や設備が破損すると、業務に支障が出るケースが考えられやすいので、こちらも併せてご検討ください。

保険はよく比較をして検討することが必要です


これまでさまざまな保険を紹介させていただきましたが、世の中には数多くの保険が存在しており、農業事業者向けの保険でも、その内容やオプションなど違いがさまざまです。
また、起こり得るリスクを想定して保険を組み合わせていったとしても、補償の範囲に穴ができてしまったり、逆に補償範囲が被ってしまい、無駄な保険料を払うことになったりすることがあります。このように保険の組み合わせを行っていくことは非常に難しいのです。

ビニールハウスに損害を受けてしまい保険を申請した際に、「保険金受け取ることができず自費で修理を行う羽目になってしまった」というようなケースを避けるためにも、保険会社や代理店、または火災保険のプロと相談をするなど、よく保険について知ってから契約をすることをおすすめします。

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事業者災害対策機構、火災保険によるトラブルやお困りごとに対応している『火災保険の専門団体』として活動する団体です。また、全国の火災保険の申請に慣れている業者と提携をしており、火災保険の相談や建物の診断を行っています。

ビニールハウスは構造上、自然災害や事故の影響を非常に受けやすいので、これまで解説させていただいたような保険への加入がおすすめです。しかし、世の中には数多くの保険が存在しており、時世に合わせてさまざまな保険や補償内容が登場してきているので、ご自身で調べてぴったりなものを見つけ出すのは中々大変なのではないかと思います。
今からビニールハウスを購入する方や、保険申請をしようとされている方、今の保険内容で問題ないのか気になっている方など、少しでも心配なことがあれば、まずは事業者災害対策機構へ問い合わせをしてみてもよいかと思います。

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